東証グロース上場のホットリンク(3680)は8日、Web3関連事業の成長加速と財務戦略の高度化を目的として、最大400万ドル(約6億円)規模でステーブルコインを活用したDeFi(分散型金融)運用を開始すると発表した。同時に、シンガポール子会社NONAGON CAPITAL PTE. LTD.(NS社)への400万ドル(約6億円)の追加出資も実施した。
新興ステーブルコインUSDe活用のDeFi運用
同社は米ドル連動の新興ステーブルコイン「USDe」を活用し、初回投資先としてDeFiプロジェクト「Ethena.fi(エセナ)」を選定した。USDeはUSDTやUSDCほどの知名度はないものの、世界のDeFi市場で急速に存在感を高めており、大手プロジェクトでも活用が進んでいる。
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年率利回りは5~10%程度を目安としており、市場環境によって変動する可能性がある。同社にとって初めてのステーブルコインを用いた資産運用となり、当期中をめどに総額400万ドル規模まで運用を拡大していく予定だ。
DeFi運用と並行して、同社はグループ会社である合同会社Nonagon Capitalを通じ、シンガポール子会社NS社に400万ドルの追加出資を実施した。この出資により、NS社の資本金総額は603万ドルに拡大し、Web3関連事業の中核的役割を担う財務基盤が強化された。
NS社では受領した資金をDeFiプロトコルの運用基盤に預託し、ステーブルコインによる運用を実行する。将来的な運用益はNS社に帰属し、グループ全体の新規事業収益の一部を構成する見込みだ。
次世代型資金管理モデルの構築
同社は今回のステーブルコイン活用を「財務戦略における新たな施策」と位置づけ、潤沢な自己資金を原資に活用することで財務健全性を維持しながら資本効率の改善を図るとしている。
流動性と安定性を兼ね備えたステーブルコインを財務運営に組み込むことにより、従来の銀行預金や短期国債とは異なる次世代型の資金管理モデルを構築し、安定的な収益基盤の形成を目指す。
DeFi運用にはスマートコントラクトの不具合や外部攻撃、ステーブルコインの価格乖離、流動性不足などのリスクが伴うため、同社は資産管理においてマルチシグウォレットを利用し、一定人数の承認がなければ資金移動ができない仕組みを構築している。
将来的には新ファンド組成や分散投資、DeFiを新たな収益エンジンとして確立する構想も掲げており、Web3関連事業における知見の蓄積と事業拡大を両輪で推進する方針だ。なお、本件が連結業績に与える影響は現時点では軽微と見込んでいる。