仮想通貨市場に大きな動きがあった2025年。特にビットコイン
BTCは半減期の翌年にあたり、史上最高値(ATH)も更新しました。
本記事では、2025年のビットコイン相場を時系列で振り返ります。価格の動きだけでなく、出来高やETFフロー・オンチェーン指標などのデータも交えながら、この一年を総合的に分析します。
2025年ビットコイン年表

| 日付・時期 | 価格変動・方向 | 要因・背景 |
|---|---|---|
| 1月20日 | ↑ 109,000ドル(史上最高値) | トランプ大統領就任式、暗号資産推進への期待 |
| 1月下旬 | → 上昇継続 | SEC委員長退任、ETF週間純流入17億ドル |
| 2月1~3日 | ↓ 91,000ドル | トランプ関税政策発表、インフレ懸念再燃 |
| 2月7〜8日 | ↑↓ 10万ドル突破後反落 | 雇用統計は軟化もインフレ予想4.3%で失速 |
| 2月21日 | ↓ 94,000ドル台へ下落 | Bybitハッキング事件 |
| 2月下旬 | ↓ 下落加速:78,000ドル | 州レベルビットコイン準備金法案が相次ぎ否決 ETFから大規模資金流出 |
| 3月2日 | ↑ 95,000ドル台(1,400万円) | アルトコイン含む戦略備蓄発表(XRP、SOL、ADA) |
| 3月11日 | ↓ 76,000ドルへ下落 | 戦略備蓄の進展遅れによる失望売り |
| 4月7日 | ↓ 74,434ドル(1,070万円) | 年間最安値、大底形成 |
| 4月17日頃 | ↑ 回復開始 | ETF資金流入が加速、トレンド転換 |
| 5月16~18日 | ↑ 106,000ドル(1,550万円) | ムーディーズによる米国債格下げ |
| 5月22日 | ↑ 112,000ドル(1,560万円) | V字回復、最高値を更新 |
| 6月20日 | → 106,000ドル(1,550万円) | テキサス州ビットコイン準備金法案可決、制度化が進展 |
| 7月9日 | ↑ 112,000ドル(1,630万円) | 相互関税の延長期限前通知で懸念後退 |
| 7月10日 | ↑ 117,000ドル(1,700万円) | 最高値更新、規制明確化への期待 |
| 7月中旬 | ↑ 上昇強化:12万ドル前後 | 米議会でCrypto Week開催、規制枠組みの議論進展 |
| 8月14日 | ↑ 124,517ドル(1,820万円) | 円建て・ドル建てともに最高値更新、年間2番目の高値 |
| 8月22~24日 | ↓ 110,000ドル(1,630万円) | ジャクソンホール会議、パウエル議長講演後に警戒感 |
| 9月17日 | ↑↓ラリー後反落 | FOMC利下げ0.25%、景気減速懸念が台頭 |
| 9月下旬 | ↓ 108,000ドル(1,580万円) | 季節要因、ポートフォリオ調整の動き |
| 10月6日 | ↑ 126,272ドル(1,890万円) | 歴代最高値到達 |
| 10月10日 | ↓ 109,000ドル(1,610万円) | 中国への追加関税発表後、急激な売り |
| 10月24~26日 | ↑ 115,000ドル(1,750万円) | CPI予想を下回りインフレ鈍化、一時的に上昇 |
| 11月20~21日 | ↓↓ 年間最大売り出来高 | レバレッジ清算の連鎖 |
| 11月21日 | ↓ 80,000ドル(1,260万円) | 30%急落、利下げ期待の後退 |
| 12月上旬〜下旬 | →90,000ドル前後(1,300〜1,400万円) | 86,000〜93,000ドルのレンジで推移 回復傾向も不安定な状況が続く |
時系列で振り返る2025年のビットコイン相場
2025年のビットコイン相場は、トランプ政権への期待と失望、ハッキング事件、ETF資金の動向、そして関税・金融政策の変化など、多くの要因が絡み合いながら激しく変動しました。
年初の熱狂から春の大底、夏の力強い回復、秋の史上最高値到達、そして冬の急落まで、相場を動かした主要な出来事を月ごとに振り返ります。
1月
1月20日:トランプ大統領就任式
当時の最高値となる109,000ドル(約1,700万円)を記録。同日、暗号資産市場の規制強化を推進していたゲンスラーSEC委員長が退任しました。
また、同週にはビットコイン現物ETFが全営業日で純流入を記録し、約17.5億ドルが流入。市場には楽観ムードが広がりました。
しかし、その後は利益確定売りと関税政策への懸念から下落しました。
2月
2月1日:トランプ関税政策発表
2月1日にトランプ大統領が新たな関税政策を発表し、インフレ懸念が再燃。ビットコインは91,000ドル付近まで下落しました。
2月21日:Bybitハッキング事件
大手仮想通貨取引所のBybit(バイビット)がハッキング被害に遭い、約14億6,000万ドル(約2,170億円)相当のイーサリアムが流出。暗号資産史上でも最大級の被害規模となり、市場に動揺が広がりました。
2月下旬:州レベルでビットコイン準備金法案が相次ぎ否決
米国の複数の州でビットコイン準備金法案が否決されたことを受け、ETFから大規模な資金流出が発生。ビットコインは78,000ドルまで下落しました。
3月
3月2日:アルトコインを含む仮想通貨戦略備蓄を発表
3月2日、トランプ大統領が暗号資産戦略準備(XRP、SOL、ADAを含む)を進めるよう指示したことが好感され、ビットコインは95,000ドル台まで回復しました。
しかし、期待は長続きせず再び下落に転じます。ビットコイン戦略備蓄施策の進展が当初期待よりも遅れたことで失望売りが広がり、3月11日には76,000ドルまで下落しました。
3月は、年間で最もボラティリティが高く、出来高も多い月となりました。
4月
4月7日:年間最安値、大底から反転へ
4月7日、ビットコインは74,434ドル(約1,070万円)まで急落し、年間最安値を記録。市場はキャピチュレーション(降伏)状態に陥りました。
しかし、この大底が大きな転換点となります。4月中旬にビットコイン現物ETFへ50億ドル超の資金が流入し、機関投資家の買い戻しが本格化。上昇トレンドに転じました。
5月
5月22日:110,000ドル到達、最高値更新
ビットコインは力強いV字回復を遂げ、5月22日には110,000ドル(約1,580万円)に到達。当時の最高値を更新しました。
背景には、ETFへの安定した資金流入や法整備の進展への期待があり、機関投資家の参入も加速。また、5月16日にムーディーズが米国債を格下げ(最上位の「Aaa」から「Aa1」へ)したことも、ビットコインにとっては中長期的な好材料として受け止められました。
6月
6月20日:テキサス州でビットコイン準備金法案が可決
6月20日にはテキサス州でビットコイン準備金法案が可決され、州レベルでの制度化が進展。
ビットコイン価格は106,000ドル(1,550万円)前後で推移し、夏に向けて力強い上昇が続きました。
7月
7月9日:相互関税の延長期限前通知
7月9日、14カ国への相互関税の通知期限が実質的に8月1日まで延長されることが発表されました。関税適用の懸念が後退したことで市場はリスクオンに転じ、10日にビットコインは117,000ドル(約1,700万円)を突破しました。
7月14日〜18日:米議会で「Crypto Week」開催、最高値更新
7月14日〜18日、米議会で「Crypto Week」が開催され、ステーブルコイン発行に関するルールなどが連邦レベルで明確化されました。ステーブルコインの規制の枠組みを整える「GENIUS(ジーニアス)法案」が可決され、トランプ大統領が署名し法律として成立しました。
7月中旬には、123,000ドル(約1,810万円、当時の最高値)を更新。関税期限延長と規制明確化への期待が重なり、リスクオンが継続しました。
8月
8月14日:年間2番目の高値を記録
8月14日、円建て・ドル建てともに最高値を更新し、124,517ドル(約1,820万円)に到達しました。上昇の背景には、世界的な資金流入に加え、法定通貨の減価(円安・ドル安)が重なったことがあります。
8月22日:ジャクソンホール、パウエル議長講演
8月22日に行われたジャクソンホールでのFRBパウエル議長の講演を受け、FOMCの金融政策への警戒感が強まり、一時は約110,000ドル(約1,630万円)まで下落する局面もありました。
9月
9月17日:FOMC利下げ0.25%
9月17日には2025年初となる0.25%の利下げが決定し、一時的にラリーが発生したものの、景気減速懸念から反落。9月下旬には108,000ドル(約1,580万円)まで下落し、約10%の調整となりました。
10月
10月6日:史上最高値(ATH)到達
10月6日、ビットコインは126,272ドル(約1,890万円)に到達し、史上最高値(ATH)を記録しました。
背景には、米国政府機関の一部閉鎖に伴う財政不安があり、ドルに依存しない「価値の保存手段」としてビットコインへ資金が流入したことが挙げられます。しかし、この高値を境に相場は一転、急激な下落へと転じました。
10月10日:中国への追加関税発表で急落
10月10日、トランプ大統領が中国に追加関税を課すと発表したことで、ビットコインは急落。売り圧力が一気に加速し、110,000ドル(約1,610万円)まで下落しました。リスク回避の動きが強まり、短期筋の損切り売りやポジション清算が相次ぎました。
10月24日:CPI予想を下回りインフレ鈍化
10月24日に発表された米国消費者物価指数(CPI)が予想を下回り、インフレ鈍化が示されたことで、相場は一時115,000ドル(約1,750万円)まで反発。しかし、利下げ期待が後退したことで再び下落基調に転じました。
11月
11月21日:史上最高値から30%超の急落
11月に入ると下落が加速し、21日には80,000ドル(約1,260万円)を割り込み、5月以来の安値を記録。10月のピークから約30%に及ぶ大幅な調整となりました。
11月20日~21日の急落では、年間最大規模の売り出来高を記録。レバレッジ取引の強制ロスカット(清算)が連鎖し、「売りが売りを呼ぶ」展開となりました。
12月
12月:レンジ内での揉み合いと底固め
急落後には反発が見られたものの、86,000〜93,000ドル(約1,300〜1,400万円)のレンジ内での推移にとどまり、方向感に欠ける不安定な状況が続いています。市場は次の明確なトレンドを待つ局面にあります。
2025年ビットコインの価格変動データ
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 最高値 | 126,272ドル(約1,890万円) | 2025年10月6日 |
| 最安値 | 74,434ドル(約1,070万円) | 2025年4月7日 |
| 最大上昇率 | 約+70% | 4月の大底から10月の天井まで |
| 最大下落率 | 約-37% | 10月の高値から11月の安値まで |
| 年間変動幅 | 約51,800ドル(約800万円) | 変動率は約70% |
| 短期実現価格* | 100,291ドル(約1,560万円) | 2025年12月25日時点 |
*短期実現価格(Short Term Realized Price):過去155日間にオンチェーン上で取引されたビットコインの平均価格。市場参加者の平均的な購入コストを示す指標。
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データで振り返る2025年のビットコイン・仮想通貨市場
2025年の激しい値動きの中で、暗号資産市場全体にはどのような変化が起きていたのでしょうか。ビットコインの市場占有率(ドミナンス)や投資家心理、大口投資家の動向といった各種データから、2025年相場の実態を詳しく振り返ります。
BTCドミナンス(市場占有率)

暗号資産市場全体に占めるビットコインのシェア(占有率)を示す指標です。2025年は5〜7月に66%付近まで上昇してピークを打ちましたが、その後57〜58%まで低下しました。
前半はビットコイン一強の状態でしたが、後半にかけてXRPやイーサリアムなどのアルトコインへ資金が移動する、典型的な「資金循環(ローテーション)」が見られました。
このドミナンス低下は、市場の主役がビットコインからアルトコインへ交代する「アルトシーズン」の兆候とも捉えられますが、依然として約60%近い水準を維持しており、ビットコインの優位性は継続しています。
恐怖・強欲指数(Fear & Greed Index)

市場心理(センチメント)を0〜100の数値で表した指標です。中央のカラー線が指数を示し、背景色がその時の心理状態(緑=強欲、赤=恐怖)を視覚的に表現しています。ビットコイン価格(灰色線)との相関が見られ、市場心理が価格にやや先行する傾向があります。
歴史的には、極端な水準(20未満や80超)はトレンド転換の有力なシグナルとされてきました。2025年の相場を見ると、背景が黄緑色に変わる「80」の大台には届かなかったものの、4〜5月や7〜8月には「強欲(75〜80)」を記録し、いずれも後に価格下落を招いています。
一方で、10月の史上最高値更新時の指数は60程度に留まりました。過去のピーク時と比較すると冷静な水準だったのは、度重なる乱高下で投資家が慎重になっていたことに加え、機関投資家の参入拡大により市場が成熟し、個人投資家主導の過熱感が抑制されていたこと、そして楽観的な熱狂を伴わない「懐疑の中での価格上昇」であったためでしょう。
11月以降は急速に冷え込み、12月25日現在は「恐怖(28)」まで低下しています。ただ、歴史的な傾向を見ると、こうした「恐怖」水準への到達は、相場の過熱感が十分に削ぎ落とされた「底打ちの目安」や「押し目買いの好機」となってきたケースが多いのも事実です。
大口保有者数(1k+ BTC)

1,000 BTC以上を保有する「クジラ(大口投資家)」のアドレス数の推移です。ビットコイン価格(黄色)が高値圏で推移する一方で、クジラの数(青色)は10月以降、明確に減少しています。
これは、価格が上昇する過程でクジラが一般投資家やETFに対して売り抜けたことを示唆しています。市場の所有権が大口から小口へ分散した「成熟期」への移行と捉えることができるでしょう。
また、この推移からは、クジラの動向が必ずしも価格を主導するわけではないという、市場構造の変化も見て取れます。
RHODLレシオ(市場の過熱感)

RHODLレシオは、短期保有者と長期保有者の保有コストを比率化し、市場の過熱感を測る指標です。2025年は年初と中盤、そして11月に短期的なスパイク(急上昇)が見られたものの、過去のバブル期ほどの極端な過熱水準には達していません。
RHODLレシオの高水準からの低下は、短期保有者(若いコイン)の利確が進んだことを示しています。特に7月以降、価格天井とレシオの低下が重なった背景には、強気相場が持続しにくい局面があったと考えられます。
2025年の総括として、市場は一定の過熱を見せたものの、歴史的な「バブルの狂乱」には至らずにピークを打ったといえます。年末にかけて数値が落ち着いてきたことは、市場の調整が進み、次のトレンドに向けたクールダウンが完了しつつある状況を示唆しています。
保有期間分布(Trading Time Distribution)

ビットコインが「最後に動いてからどれくらい経ったか」を示す指標です。赤線は3カ月以内に移動した「短期保有コイン」、青線は1年以上動いていない「長期保有コイン」の割合を表します。
2025年前半は、価格上昇に伴い短期保有コイン(赤線)がやや増加したものの、3〜4月の調整局面で大きく減少。多くの短期参加者が一度市場を離れたことがわかります。一方で、長期保有コイン(青線)は年間を通して緩やかな減少傾向にあり、売り圧力としては限定的ながら、節目ごとに利益確定が行われていたことが見て取れます。
11月の急落時には、 低位で安定していた赤線が急激に跳ね上がりました(約16%→23%)。これは、急落に動揺した投資家による「狼狽売り(パニックセリング)」や損切りが殺到し、コインが大量に移動したことを如実に物語っています。
2025年の総括としては、長期保有者が上昇局面で部分的に利確を進め、その売りを新規参入者(短期保有層)が吸収する形で市場が推移した1年だったと言えるでしょう。
先物建玉(オープンインタレスト)

全取引所のビットコイン先物建玉(未決済のポジション合計)の推移です。10月の価格ピーク時には建玉が約600億ドル超という過去最大規模まで膨張し、市場には過剰なレバレッジポジションが積み上がっていました。
しかし11月以降、価格下落に伴い大規模な強制清算(ロスカット)が連鎖的に発生し、現在は約300億ドル台まで半減しています。
この建玉の急減は、相場を押し上げていた「投機的な燃料」の枯渇を意味しますが、同時に過剰なポジションが一掃され、市場が健全な状態にリセットされたとも解釈できます。
半減期翌年の2025年、ビットコインの立ち位置は

2025年のビットコインは、4年周期の長期サイクルにおいて「半減期翌年」という最も価格が伸びやすい局面にあり、歴史的にも2017年・2021年と同様の「上昇本番の年」に相当しました。
4月に大底をつけた後、夏に中間ピークを形成。10月にはETFへの資金流入を追い風に史上最高値を更新し、11月には大きな調整が入るなど、典型的な上昇サイクル後半のダイナミックな動きを示しました。
また、2025年は「ETFマネー」が市場の主導権を握った最初のサイクルであり、需給構造が従来とは大きく変化した年でもあります。
総合的に見ると、2025年はサイクルの「秋(成熟期・収穫期)」に位置し、ピーク形成とその反動による市場のリセットが一気に訪れた1年だったといえるでしょう。



