このページでは、Etherscan API を活用して、最新のイーサリアム（ETH）のガス代情報をリアルタイムで提供しています。
イーサリアム（Ethereum・ETH）のガス代とは？
イーサリアムのガス代とは、取引手数料のことを指します。ユーザーが行う取引に対して、どれだけの計算ステップが必要なのかを測るための指標となります。
通常、ブロックチェーン技術を利用した仮想通貨（トークン）を送金する場合、その取引に必要なデータ計算処理（マイニング）を行うマイナーに支払う手数料が発生します。ビットコインの場合はこの手数料のみですが、イーサリアムではこの手数料に加え、スマートコントラクト（自動契約）を実行する際にも手数料が必要となります。
これら2つの手数料を合わせた合計が、イーサリアムにおける「ガス代」となります。
「ガス（Gas）」はその単位を表し、ガス代とは取引を実行・承認してもらうために支払う手数料のことです。このガス代はユーザーが上限を設定することができます。ただし、設定が低すぎる場合、マイナーに後回しにされ、取引がいつまでも承認されない可能性があります。
ガス（Gas）の単位
ガス（Gas）の単位表示がイーサリアム（ETH）で行うと非常に理解しにくいため、ガスの単位には「wei」という単位が使用されます。weiはETHの最小単位です。
以下は、ETHの単位とその相当量です
- wei（最小単位）: 0.000000000000000001 ETH
- kwei: 0.000000000000001 ETH
- mwei: 0.000000000001 ETH
- gwei: 0.000000001 ETH
- szabo: 0.000001 ETH
- finney: 0.001 ETH
- ether: 1 ETH
- kether: 1,000 ETH
- mether: 1,000,000 ETH
- gether: 1,000,000,000 ETH
- tether（最大単位）: 1,000,000,000,000 ETH
イーサリアムのガス代の必要性
イーサリアムでガス代が必要な理由は、マイナーへの支払い手数料だけではありません。ガス代にはネットワークの過度な負荷を軽減するという重要な役割があります。イーサリアム（ETH＝イーサ）は、ビットコインに次ぐ時価総額を誇る仮想通貨です。
世界中でイーサリアムのプラットフォームを利用した取引が増加すると、ネットワークには大きな負荷がかかり、結果として送金スピードが低下します。この負担を適切に管理するために、ガス代という形で手数料を課しています。
また、取引が活発に行われると、マイナーの作業が追いつかないことがあります。この場合、ユーザーが高いガス代を設定すれば、マイナーは高額なガス代を提供する取引を優先的に承認します。このようにして、マイナーの労働単価を高めることで、ネットワークに過度の負担がかからないように調整されています。
イーサリアムのガス代の役割
ガス代を設定することは、結果的にセキュリティを向上させる要因にもなります。イーサリアムは過去にDoS攻撃を含むサイバー攻撃を受けたことがあります。これに対応する手段として、ガス代が重要な役割を果たしています。
DoS攻撃とは？ DoS攻撃（Denial of Service attack）は、ネットワークやサーバーに過剰なトラフィックを送信し、正常なサービスが行えなくする攻撃です。これにより、システムが過負荷状態になり、使用不能に追い込まれます。
イーサリアムにおけるガス代は、すべての取引で発生します。そのため、DoS攻撃などのサイバー攻撃を試みる者も、その攻撃のためのトランザクションにガス代を支払う必要があります。これにより、攻撃者のコストが増加し、攻撃を行うモチベーションが低下することにつながります。
イーサリアムのガス代の計算方法
イーサリアムでは、ガスの単価（Gwei）とガスリミット（Gas limit）を掛け合わせて正式なガス代が計算されます。このガス代は、実際に消費されたガス代を差し引いた後、余剰があれば返金されます。
例として、1ETHを送金する場合のガス代の計算方法を見てみましょう。
リミット（Gas limit）×ガス単価（Gwei）－実際に使用したガス＝実際に支払うガス代（ETH）
- まず、トランザクションのためのガスリミットを設定します。このリミットはトランザクションに必要な最大ガス量を示し、通常は自動で計算された数値が表示されますので、そのままで問題ありません。
- 取引の複雑さに応じて必要なガス量が変動します。
- 送金がマイナーによって承認され、ブロックが生成されると、そのプロセス中にガスが消費されます。
- 消費されたガスの代金はマイニング手数料としてマイナーに全額支払われます。
- 設定されたガスリミットから実際に消費されたガス量を差し引いた余剰分は、ユーザーに返金されます。
トランザクションとガス代の関係
トランザクション（取引）とガス代の関係性について解説します。
ガス代を高く設定すると待ち時間が短くなる
ガス代を高く設定することは、トランザクションの承認待ち時間を短縮する効果があります。マイニングを行うマイナーは、ガス代が高いトランザクションを優先的に処理するため、ガス代を高く設定することで、取引が通常よりも早く承認されることがあります。
例えば、オークションで他の人よりも早く商品を落札したい場合、通常よりも高めのガス代を設定することで、他のプレーヤーよりも早く取引を承認してもらうことができます。
ただし、ネットワークが混雑している時間帯では、短時間に多くの取引が行われるため、マイナーの承認速度が追い付かないことがあります。混雑時には、ガス代を高く設定しないと、承認されるまでに長い時間がかかることがあります。混雑していない時間帯を狙うことも一つの解決策です。
ガス代は燃料と同様
ガス代は、燃料と同様に考えることができます。例えば、車に多くのガソリンを入れれば遠くまで走れるように、イーサリアムのガスリミット（UNITS）を高く設定すれば、より多くのプロセスを実行できます。
ガスリミットをケチって低く設定すると、最悪の場合、取引が承認されずに実行されないこともあります。しかし、設定したガスリミットを全て使い切らなかった場合、使われなかった分のUNITSは返金されます。
ガス代＝ガソリンと置き換え、少なすぎると取引が実行されない可能性があると覚えておいてください。
ガス代はガソリン価格と等しい
ガス代はガソリン価格と同じように考えることができます。レギュラーガソリンよりもハイオクガソリンの方が価格が高いですが、質が高いのと同様に、イーサリアムにおいてもガス代が高いトランザクションほど、マイナーによって優先的に承認されます。
急ぎの取引では、ガス代を少し高めに設定して早く承認を受けると良いでしょう。ただし、ガス代を過度に高く設定すると、無駄なコストが発生するため注意が必要です。
イーサリアムの高いガス代を節約する（安くする）方法
ここではイーサリアムのガス代を安くする方法を紹介します。また皆さんがよく利用している「MetaMask（メタマスク）」やNFTプラットフォーム「OpenSea」利用時のガス代を節約する方法も合わせて解説します。
現時点で、イーサリアムのガス代を節約する方法は以下の4つとなります。
- ガス代が安いタイミングを狙う
- こまめに送金せずにまとめて送金することを心がける
- メタマスクの設定を変更してガス代を安くする
- OpenSea利用時はまとめて購入するとガス代がオトクに
以上を一つ一つ解説していきます。
ガス代が安いタイミングを狙う
イーサリアムのガス代を節約する最良の方法は、その時点での適切なガス代を把握することです。
「前回と同じぐらいで良いだろう」と考えて確認せずに取引を行うと、ガス代が予想以上に高くついてしまうことがあります。イーサリアムで取引する際は、必ずその時点での適切なガス代を確認してください。
また、使用しているウォレットによっては、初期設定されているガス代がその時点での適切なガス代よりも高く設定されていることがあります。そのため、取引を行う前にウォレットの設定も必ず確認しましょう。さらに、取引が混雑していない時間帯を狙うことも、ガス代を節約する有効な手段の一つです。トランザクションが混雑している時間には、より多くのガス代が必要とされるため、混雑していない時を選ぶことが賢明です。
イーサリアムのガス代が安い時間帯を把握
この画像は直近1週間のイーサリアムのガス代（Gwei）の変動を示すチャートです。
チャートから読み取れる主な点は以下の2つです。
- 日付が変わる直前から翌日の午前中にかけて、ガス代が大きく変動していることがわかります。特に11月19日から20日にかけて、ガス代が急激に上昇しています。
- 夕方から夜にかけては、ガス代の動きが比較的小さく、安定しています。
このデータから、日本時間で15時から19時の間に取引を行うのが最適であると考えられます。この時間帯はアメリカでは深夜にあたり、仮想通貨の取引がアメリカで多く行われていることから、取引量が減少すると予測されます。これによりガス代が低くなる可能性が高いです。
今後、さまざまな国が仮想通貨業界に参入し、市場が拡大する可能性があります。その結果、取引量が少ない時間帯が変化するかもしれませんが、現時点では日本時間の15時から19時が最も取引に適していると言えます。
また、ビットコインの価格が急騰したり急落すると、イーサリアムも同様に動く傾向にあります。価格が急激に上下すると売買する人が増え、トランザクションの処理需要が高まります。これにより、ガス代も自然と高くなります。そのため、随時情報を集め、低いガス代のタイミングを逃さないよう注意が必要です。
まとめて送金することでガス代を節約する
ガス代は一回の取引や送金毎に発生します。そのため、頻繁に送金や取引を行うと、その都度ガス代がかかってしまいます。可能であれば、こまめに送金をせずに、ある程度まとめて送金することでガス代を節約できます。
しかし、注意点が一つあります。送金を行う際に送金先のウォレットアドレスを間違えてしまうと、送金した仮想通貨が戻ってくる可能性は非常に低いです。そのため、大きな金額を送金する際は、一度少額を送金してみて、着金を確認してから残りの仮想通貨を送金することで、送金ミスのリスクを軽減することが推奨されます。
メタマスクの設定を変更してガス代を安くする
小技のようなものですが、Metamask（メタマスク）の設定を変更することでガス代を節約できます。少しでもガス代を節約したい方におすすめです。
取引速度を落とす
メタマスクを利用時に取引速度を落とすことでガス代が節約できます。
やり方は下記です。メタマスクで送金を行う場合、送金したい仮想通貨を選択してアドレスを入力後、「次へ」を押すと下記画面が表示されます。
「編集」をクリックすると、取引の処理速度を変更するページが出てきます。左から「Low」「Medium」「High」の順に変更できます。
- 「Low」: 処理時間が重要ではない場合に使用を推奨
- 「Medium」:基本的な処理速度
- 「High」: 時間的制約のある取引に最適（スワップなど）
「Low」を選択すると取引速度が下がります。ガス代を節約するのであれば「Low」を選択しましょう。目安として15分以内で処理が完了するとお考え下さい。（処理が混んでないときは早めに承認されます。）
手動で数値を変更する
上で紹介したやり方より更にガス代を安く済ませる設定方法を解説します。まずは、最初に話したガス代の計算式を思い出してください。
Gas Limit × Gas Price(gwei)
すごく単純な話ですが、Gas LimitとGas Priceを小さくすればガス代は安くなります。これから、Gas LimitとGas Priceの変更方法を解説します。
先ほどの画面の下に表示されている「詳細オプション▼」をクリックしてください。
するとGas LimitとGas Priceを変更することができるページに移動します。
- Max priority fee (GWEI): 処理するマイナーに支払うチップ
- Max fee(GWEI):Gas Price
一番上のGas Limitと一番下のGas Priceを変更すればガス代は安くなります。
但し数値が低すぎると、全く取引を承認してくれないので、複数試してみて通りそうな数値を見極めましょう。
おすすめの手動設定
Gas LimitとGas Priceをどれぐらい下げればいいのか、難しいですよね。おすすめの手動設定を説明します。
結論からいうと、
- Gas Limit : 変更無し
- Max priority fee (GWEI): 変更無し
- Max fee(GWEI):Gas Price : メタマスクが提案する値より少し下げる
に設定するのがおすすめです。
Gas Limitは変更出来ますが、基本的には変更しない方がいいです。設定したGas Limitを超える量のGasを使用した場合、強制的に処理が終了します。問題が起きた際に無限にガス代が発生するのを防ぐためです。強制的に処理が終了すると、取引は成立せずガス代は戻ってこない。という最悪なケースになる可能性があります。特別理由が無ければ放置してください。
取引のシステム上、Max feeが高い人の取引から処理されていきます。過度に下げるとガス代の節約にはなりますが、いつまでたっても処理されません。時間がかかっても大丈夫という人は、メタマスクが提案してくる値より少し下くらいで設定するのがおすすめです。