Flying Tulip/フライング・チューリップ (FT)
FT(フライング・チューリップ)とは?
FTは、Flying Tulip(フライング・チューリップ)のネイティブトークンです。フライング・チューリップは、現物取引、レンディング(貸借)、パーペチュアル先物(無期限先物)、保険、ftUSDと呼ばれるステーブルコイン型の決済レイヤーを統合したオンチェーン金融プラットフォームです。FTは、このエコシステム全体の活動をトークン価値に還元する「トークンファースト」モデルの中核を担っています。
FTはLayerZero(レイヤーゼロ)のOFT(オムニチェーン・ファンジブル・トークン)規格を採用したクロスチェーン対応トークンであり、ERC-20規格およびEIP-2612(ガスレス承認)をサポートしています。オンチェーンで行われたパブリックセールのキャピタル・アロケーションの参加ネットワークとして、イーサリアム、アバランチ、ソニック、ベース、BNBチェーン、ソラナの6チェーンが示されており、クロスチェーンでの移転が可能です。
FTの主なユーティリティは以下の通りです。
- プロトコル収益のバイバック&バーンへの還元
- 裏付け資本の利回り活用
- パーペチュアル・プットの提供
- アンロックのトリガー
フライング・チューリップの各プロダクトから生まれるプロトコル収益や手数料は、市場でFTを買い戻してバーンする原資として使われます。また、キャピタル・アロケーションと呼ばれるパブリックセールで集まった資金はアーべ等のリスクが限定的な運用先に配置され、その利回りのうちエコシステム予算を差し引いた余剰分もバイバック&バーンに充てられます。プライマリーセールの参加者には、出資額と同等の資産をいつでも額面で回収できるオンチェーンの権利であるパーペチュアル・プットが付与されます。さらに、プロトコル収益によるバイバックが実行されると、財団・チーム・エコシステム・インセンティブの各カテゴリのトークンが1対1で解除される仕組みです。
フライング・チューリップ(FT)のトークノミクス
FTは、固定の供給量・バイバック&バーン・収益連動型のアンロックなど、独自のトークノミクスの設計となっています。
供給量
FTはデプロイ時に最大供給量10,000,000,000 FT(100億FT)がミントされ、以降の新規の追加ミントは発生しない設計です。実際に市場へ配分される数量はキャピタル・アロケーションで調達された資本によって決まり、未配分のFTはインベストメント・コントラクト内に残る形となります。
発行メカニズムと配分
FTはキャピタル・アロケーションを通じて配分されます。固定レートは1ドルにつき10FT(想定価格0.10ドル)であり、実際に調達された資本に比例してのみ配分されます。例として、5億ドルが集まった場合は50億FTが配分され、残りの50億FTはインベストメント・コントラクト内に流通しないトークンとして残ります。
アンロック・ベスティング
キャピタル・アロケーションの参加者には、ベスティング(段階的解除)やクリフ(一定期間のロック後に一括解除)もありません。FTはパーペチュアル・プットに組み込まれた形で即時発行され、保有・額面での回収・出金してプットを無効化するかのいずれかを選択できます。
財団・チーム・エコシステム・インセンティブのアンロックは、プロトコル収益によるバイバックの実行に連動しています。収益によるバイバック1ドルに対して1ドル分が財団/チーム/インセンティブ = 40:40:20の比率で解除される仕組みです。バッキングキャピタルの利回りのみで行われるバイバックはアンロックされません。
FTの供給量を減少させる仕組みとして、バイバック&バーンには以下の3つの原資があります。
- バッキングキャピタル利回りの余剰分
- プロトコル収益・手数料
- パーペチュアル・プットを無効化した際のバッキングキャピタル
バッキングキャピタルの利回りのうち、エコシステム予算を差し引いた余剰分が1つ目の原資です。2つ目は各プロダクトから生じるプロトコル収益や手数料であり、この収益を原資としたバイバックのみが財団/チーム/インセンティブにアンロックされます。3つ目は、プライマリー参加者がパーペチュアル・プットを無効化した際に解放されるバッキングキャピタルです。
公式による試算では、バッキングキャピタルの利回りから年間約4,427万ドルが利用可能とされ、プロトコル収益のベースラインは年間約8,141万ドルと示されています。ただし、これらはTVL(総ロック資産)約10億ドル・バイバック価格0.10ドルを前提とした試算であり、実績値ではない点に留意が必要です。
注意点
トークノミクスを評価するうえで、いくつか留意すべき点があります。
バイバック&バーンはプロダクトの取引高やTVLに依存しており、利用量が伸びなければ原資が限定的になる可能性があります。また、2026年2月時点では公式FAQに取引所への上場は計画されておらず、フライング・チューリップ自身の取引所が主要な取引手段になる可能性がある点も認識しておくと良いでしょう。
フライング・チューリップ(FT)の将来性は?
FTの将来性を評価するにあたって、ロードマップやエコシステムの計画、DeFi(分散型金融)特有のリスクについて認識しておくことが大切です。
ロードマップ
フライング・チューリップの開発は依存関係に基づくウォーターフォール型で進められ、各段階は「内部開発→コードフリーズ→独立した3件以上の監査→製品化準備→リリース」のサイクルを踏みます。具体的な日付は示されていませんが、以下の4段階が順番に計画されています。
- パブリックセール
- コア・パーミッションド・トレーディングスタック
- コア・パーミッションレス・トレーディングスタック
- オラクル&アプリケーションレイヤー
第1段階では、パーペチュアル・プット付きのキャピタル・アロケーションを通じてFTトークンが配分されます。第2段階では、レンディング、ftUSD、レバレッジ現物、現物、無期限先物、先物&オプションが、上限付きの制限された環境でリリースされます。第3段階では、ボラティリティ適応型のAMMやダイナミック・レンディング、許可不要の先物&オプションが一般公開されます。第4段階では、オラクルレスのHTTPS検証、バイナリー予測市場、ローンチパッド、保険が順次展開されます。
各段階の開発・監査・ローンチ準備に平均2〜3か月を想定しており、ロードマップ全体の完了までおよそ3〜4年半が見込まれています。
エコシステム拡大
フライング・チューリップのエコシステムは、単一プロダクトではなく統合金融プラットフォームとしての展開を目指しています。プライベートラウンドで2億ドルの資金調達を完了しており、Impossible Finance(インポッシブル・ファイナンス)、CoinList(コインリスト)のコミュニティとの連携が2024年から継続しています。また、創設者であるアンドレ・クロニエ氏が関わったYFI・KP3R・FTM/Sなどのトークンの参加実績に基づくサポーター・ホワイトリストが設定されており、パーペチュアル・プットのセカンダリーマーケットも計画されています。
競合環境
フライング・チューリップは、現物取引、レンディング、先物、保険を単一プラットフォームに統合している点で、既存のDeFiプロジェクトとの差別化を図っています。特に、外部オラクルに依存せず自身の取引活動から価格情報を取得するオラクルレス設計や、AMM(自動マーケットメイカー)とCLOB(中央指値注文板)を併用したハイブリッド取引執行、リスク管理が技術的な特徴です。ただし、アーべ、dYdX、GMXなど特定の領域で高いTVLを持つ競合が存在しており、ユーザーと流動性の獲得がポイントになるでしょう。
リスク
FTに関連するリスクとして、以下の点が挙げられます。
- スマートコントラクトのハッキング
- 流動性・出来高の減少
- バッキングキャピタルの運用
- 規制
- トークン解除
- 競争の激化
複数プロダクトの統合により攻撃にさらされる対象が多く、監査済みであっても発見されていない脆弱性が存在する可能性があります。また、2026年2月現在では取引所の上場がされておらず、FTの流動性はフライング・チューリップ自身のプラットフォームに依存しています。バッキングキャピタルはアーべなどの外部プロトコルやLST(リキッドステーキングトークン)に配置されており、それらのプロトコル固有のリスクが存在します。
その他にも、ステーブルコインやステーキングに関する規制環境の変化がバッキングキャピタルの運用方針に影響する可能性もあります。財団・チーム等の保有割合が明確ではないため収益が拡大した際のアンロック量の増加やDeFi領域全体の競争激化により技術的な優位性が短期間で少なくなる可能性にも留意が必要です。